『妖狐×僕SS』に見るキャラのあり方 - 遊木

『妖狐×僕SS』(以下『いぬぼく』)とは、スクウェア・エニックス刊『月刊ガンガンJOKER』09年5月号(創刊号)より連載中の漫画である。12年1月から3月までテレビアニメも放送された人気作品だ。現在単行本7巻まで刊行されており、シリーズ累計は300万部を突破している。
単行本3巻までの本作は、個性あふれる先祖返りたちが繰り広げるほのぼのとしたラブコメディだった。日常系ラブコメだと言ってもいいだろう。能力を使いながらも、白鬼院凛々蝶と御狐神双熾は妖館と高校を行き来する平和な日常を謳歌していた。その中で親交を深めていき、そして恋人同士になった。
しかし、第4巻から、そのほのぼのした雰囲気は急変する。謎の先祖返り犬神命の呪いにより百鬼夜行に巻き込まれた上に髏々宮カルタが操られ、双熾が殺されてしまう。カルタを救うために凛々蝶を始めとする先祖帰りのほとんどは命を落としてしまった。それから23年が経ち、第5巻より物語は第2章となる。しかし、凛々蝶が高校入学を機に妖館へ引っ越して双熾がSSになるという、第1章と全く同じ展開で物語が始まる。双熾は死んだにもかかわらず、だ。一方で、第1章と第2章ではマンションの住人の人間関係が変化しており、入居直後に凛々蝶と双熾を歓迎したのは、夏目残夏とこれまでほぼ出番がなかった小人村ちのだった。夏目残夏とメイドの小人村ちのが凛々蝶と双熾を歓迎したのだ。
ここで、筆者は奇妙な混乱に陥った。時間経過も転生の説明もなくいきなり、今まで読んできた登場人物および人物相関図が違う『いぬぼく』を見せつけられたからだ。凛々蝶と双熾との関係は同じだが、他の住人が変わっているのだ。