とある腐女子の点と線 雲田はるこ『昭和元禄落語心中』を題材に - 小鼠

さて、ここからはいよいよ『昭和元禄落語心中』の中の〈点〉と〈線〉について語っていこう。引用が多い上に、ネタバレ全開である。未読の方はくれぐれも留意されたい。
現在、この『昭和元禄落語心中』は、単行本2巻まで発売されている。まずはその裏表紙の作品紹介を見ていこう。

《1巻》
満期で出所の模範囚、だれが呼んだか名は与太郎。娑婆に放たれ向かった先は、人生うずまく町の寄席。昭和最後の大名人・八雲がムショで演った「死神」が忘れられず、生きる道は噺家と心に決めておりました。弟子など取らぬ八雲師匠。惚れて泣きつく与太郎やいかに……!? 昭和元禄心中・与太郎放浪篇、いざ幕開け!!

《2巻》
惚れぬく八雲師匠の芸だがオイラにゃできねぇ、気づき始めたこの与太郎。小夏の父ちゃん・亡き助六のすげぇ落語に取りつかれ、迎えた師匠の独演会、やっちゃいけねぇヘマをした。破門と言われた与太郎と与太をかばう小夏の二人に師匠が語る約束の噺たぁ……!?与太郎放浪篇から八雲と助六篇へ「長ぇ夜になりそうだ─」

もうこの作品紹介だけで、すでに「惚れたってことですね? 愛ですね!?」と私の腐女子アンテナは反応しっぱなしであるが、ここでざっと本編の流れを整理しておこう。上記のとおり、作品は現在第2部「八雲と助六篇」に入っているが、本稿では現在単行本ですべて読める「与太郎放浪篇」のみを取り上げる。
この「与太郎放浪篇」は、主人公の与太郎が「弟子など取らぬ」八雲師匠に「惚れて泣きつ」き、弟子にしてもらうところから始まり、与太郎と小夏に八雲が「約束の噺」を語りはじめるところで終わる。